鳥獣駆除の報奨金を水増し受給

鳥獣駆除の報奨金は農水省や県庁、自治体(市区町村)が予算を組み、イノシシやシカ等を駆除した場合に報奨金を猟師に支払う自治体の交付金です。

平成28年度ではイノシシ一頭あたりの駆除に、5,000円~20,000円程度の交付金が支払われていました。交付金の額は自治体によって変わります。

私の出身地でもイノシシの尻尾と写真を駆除の証拠として提出することで交付金15,000円が支払われた様で、知合いの猟師は猟期に数十頭を駆除したことで、生活費の足しとしたという武勇伝を語っていました。

今回の事件では、一頭の写真を様々な角度から撮り5~6頭しとめた様に見せかけたり、尻尾や耳は猟期に捕獲したものを保存し、猟期外に駆除したようにみせかけて駆除頭数を水増ししたというものです。
鳥獣駆除、水増し受給? 霧島市で写真など偽装、報償費300件超:西日本新聞

真面目に駆除、猟期内に捕獲を行っている猟師からすると言語道断の不正ですが、交付金の審査に関係する自治体担当者からすれば駆除してくれる猟師が少ない中、証拠が怪しい場合でもなかなか強くいえないという状況もあったのではないかと他の猟師仲間は指摘しています。

また、近隣住民のため駆除隊に加わろうとする有志の猟師に対して、ここは○○猟友会の管轄だから認められないとするなど、都道府県の担当者と猟友会の関係もなあなあであることも指摘されています。

実際に私の住む地域でもそういった猟友会の縄張り意識と、猟友会と自治体の癒着の噂が立っています。周辺の複数の猟友会から噂が立っているためあながち間違ってはいないのではないかと思います。

近隣住民は被害が増えている中駆除依頼をしている様ですが、猟友会は人手不足だと駆除をせずできる範囲内でしか動かないため、直接駆除の相談があります。
そこで、駆除隊への志願をしても「まずは猟友会に入ってからそこで認められなければ」と言われ、猟友会に入ろうとすれば「うちはほとんど活動していないので他へどうぞ」と新参者を受入れない状況です。

古くからの縄張り意識(利権)やなあなあの人間関係(癒着)についても私たちの世代が声を上げ正していかなければと思います。駆除許可については引続き県庁や自治体との交渉を続けていきます。

柴犬による狩猟

我が家では柴犬と何かのミックス犬を飼っています。飼育の理由は犬好きだからということもありますが、あわよくば狩猟に同行させたいと考えたからです。

うちの犬の外見はほぼ柴犬ですが、鼻筋が黒くなっておりまた通常の柴犬より一回り大きいため、中型~大型犬と柴犬の子であること推測できます。性格的な部分は飼主だけに忠実で、頑固なところがあるため柴犬の特徴を備えています。

さて、この飼い犬の「ゆず」を射撃場に連れて行ったところ…射撃音に恐怖してその場から逃げ出そうとしたり、その場で伏せの状態になったりと慣れない様子でした。

いろいろと調べましたが狩猟犬の育成についての情報があまり見つからなかったため、警察犬を銃声に慣れさせる訓練を紹介します。とても簡単な手順ですが犬と飼主の信頼関係が重要と思われます。

警察犬の訓練では警察官2人と犬1匹で行うようです。警察官①は射手(銃声を鳴らす役)、警察官②は犬を落ち着かせる役、そして犬です。
警官②はまず犬に伏せの状態を命じ、犬を足元に伏せさせます。警官①が発砲し、それに驚いた犬を警官②がなだめるという方法です。これを警官①と犬の距離を遠くからはじめ、徐々に近づいていき近距離での発砲にも耐えられる様訓練するというものです。

その中でいわれていることは、銃声など大きな音はどんな犬でも嫌がるため、いかに飼主が犬をなだめ、安全なのだということを犬に理解してもらうことが重要ということです。

ゆずの様子を見ていたハンターと思われる人に言われましたが、猟犬はもっと好奇心旺盛であることが重要、ここ(射撃場)で怯えている様なら向いていない。イノシシに殺されてしまうだろうと。

確かにゆずは銃声に怯えていましたし、大きな犬には吠えるだけで近づこうとしません。また、柴犬は(他の猟犬に比べれば)猟犬には向かないということもよくいわれることです。しかし、散歩をしているときに遭遇したスズメやキジ、野良猫への反応、他の飼い犬に絡まれたときの反応はすばやく、リードを着けていなければ単独で獲ることも容易と思われます。法的には猟犬単独での狩猟は禁止されているため、そうさせません。

一方で飼い猫へは飼主の様子を見て、急に近づいたりすることなくゆっくりと近づくことができるため賢い犬です。さすがに犬と猫の両方がリビングにいるときには念のためリードを着けますが、いまのところ喧嘩はありません。猫の方は近づくなと威嚇しますが、犬のほうから必要以上にじゃれることはありません。

まだまだ猟犬としての訓練は必要ですが、猟期に一緒に狩猟ができることを夢見てがんばって育てたいです。猟犬に信頼されるよう猟犬の訓練と、自分自身の射撃の訓練に励みます。

農林水産省の食堂でジビエが食べられる

農業被害に悩む農業従事者のことを考え、農林水産省の食堂でジビエ料理が食べられるといった記事がありましたので、紹介します。
農水省食堂でジビエ=鹿肉のメンチカツ定食_時事ドットコム

なぜこういった取組みをするに至ったか。現在は農業従事者の高齢化や離農により耕作放棄地が増えていますが、そこを根城にする野生動物、イノシシ・シカ・ハクビシン・クマなどが増加し、農業に甚大な被害をもたらしています。以前書いた記事に被害内容を載せています。
なぜいま狩猟が注目されているのか

さらに、野生動物の人への恐怖感がなくなってきており、田畑や街へ降りてきてしまうという事例も増えてきております。
熊にも世代間ギャップがあるそうです。

そうしたときに、防護柵だけでは農作物への食害や、人と野生動物の意図しない遭遇を抑えらると期待されているのが狩猟です。

しかし狩猟はマイナーであり、少なくとも野生動物の止め刺しには銃を使用するため危険があります。また、日本において銃を持つということには偏見があり、猟師の高齢化と若年者が育たないといった課題があります。

そこで、ジビエは美味しい!この肉はどうやって獲れるの?狩猟?私もやってみたい!というライトなイメージからの若年ハンターの育成と野生肉の流通に狙いがあるのではないかと思います。
それにより、野生動物による農作物の食害の抑制を図りたい農水省といったところでしょうか。

ジビエ料理が受入られ、野生肉が流通する様になれば野生肉が無駄にされなくなり、ハンターである私も獲り甲斐があります。また、ジビエ料理を参考にして獲物をどう料理するのかといった楽しみも増えていきそうです。

イノシシ、シカの捕獲マニュアル by千葉県庁…鳥獣対策班

千葉県庁環境生活部自然保護課鳥獣対策班から、罠猟免許をもつ初心者ハンター向けに、イノシシ・シカのわな捕獲マニュアルを公開しました。

私を含め身近にベテランの罠師がいない人も多いのではないでしょうか。マニュアルでは箱罠、くくり罠の設置方法や効果的な設置場所など捕獲のコツ、捕獲後の止め刺しの方法までが解説されています。

また、農業被害に悩む農家の方々にとっても活用できる良い資料となっていると思います。

ただし、罠に掛け捕獲するにはわなの狩猟免許が必要になりますし、猟期に捕獲する場合は猟をする都道府県での狩猟登録が必要で、猟期外の場合は害獣駆除に限り許されています。

私の場合はわなの狩猟免許はこれから取得する予定ですので、そのための勉強として活用します。もしかしたら免許の事前講習を受けなくても良いぐらいになれるかも知れません。

さて、イノシシ・シカの分布には地域差があることはご存知でしょうか。全国に分布しているように思いますが、イノシシは寒冷地である北海道や東北地方には少なく、またニホンジカは東北地方の一部や茨城県全域、千葉県北部にはいないことが分かります。以下は環境省が調査した分布図の抜粋です。

私の実家のある千葉県南部はシカとイノシシのパラダイスであることが分かります…これは同時に農家にとっての害獣が多く、対策に悩まされていることを示しています。これに加えキョンやハクビシン、アライグマが増えているという生の声も聞いています。

これを受けての千葉県庁による捕獲マニュアルの作成と思われますが、はたして県庁のホームページを見る人がどれだけいるのでしょうか。良い取組みのため拡散してくれることを祈ります。

狩猟免許試験の日程が公開in千葉県 ~狩猟は仲間しだい~

5月初旬に千葉県における狩猟免許試験の日程が公開されました。
平成29年度狩猟免許試験のご案内/千葉県

狩猟免許試験は受験者の住民票のある都道府県でしか受けられませんので、千葉県以外にお住まいの方は各々確認をお願いします。

次回の試験では罠猟免許を取得したいと考えています。というのも銃による狩猟が禁止されている区域も少なくなく、また人を恐れるイノシシ等、罠の方が獲りやすい場合もあります。私の居住地の周辺はまさにそういった土地であるため取得を考えるに至りました。

これから狩猟免許を複数取得したいと考える方は、是非併願受験をおすすめします。受験費用を抑えられますし、試験に要する知識も共通なところが多いです。時間も掛かりません。試験が平日に行われることもありますし、試験場がへんぴなところにあるため、併願が効率的です。

以前の記事(狩猟するために必要なこと)にも記しましたが、県の猟友会による講習会に参加することをおすすめします。これを受けないとまず合格できません。またこの講習会費用は一般人は3万円と安くないため、必ず猟友会の推薦状をもらい1万円で受けられるよう手続きをしましょう。

推薦状を貰ったからといって、その猟友会に入る必要はありませんのでご安心ください。また、事前に猟友会にコンタクトすることで、猟友会の雰囲気や活動状況について確認すると良いでしょう。

中には新参者に冷たい対応をする組織もありますし、活動していないところに入会しても長続きしないと思います。実際に私が推薦状を貰った猟友会は新参者に冷たく、周囲の猟友会からの評判も良くないところでしたが、それにより船橋猟友会とコンタクトすることとなり、銃選びの相談ができたり、貴重な人脈を得ることができました。

何より右も左も分からないド素人を受入れてもらえ、教えを請うことができるようになったことは大きな変化だったと感じています。分かる人に聞いた方が独学より数倍効率的であるということは皆さんも分かっていると思います。

また、猟友会長さんのお宅に妻も同行したことで、妻の狩猟に対する不安(危険ではないか?お金が掛かるのでは?何か得があるの?)も払拭してもらえました。

狩猟は一人でもできなくはありませんが、最初は皆ド素人で猟果も期待できません。先人の知恵を吸収したり、周囲と協力して安全に配慮したり、楽しく長続きさせるにも、どういった猟仲間と付き合うかが重要と思います。

石膏ボードにも固定できる ~ガンロッカー設置~

銃の保管にあたって一つの障壁となるものが、ガンロッカーの設置(固定)ではないでしょうか。

銃刀法等の法律でガンロッカー自体の基準と設置場所、設置方法が定められています。
基準等については記事の終わりに記しますが、警察署の生活安全課の担当者が検査をしますので、その指示に従うと良いと思います。

さて、ガンロッカーは持ち運べないように固定する必要がります。そうすると住居の壁に多く利用されている石膏ボードにはビスや木ネジは使用できないため、下地のあるところを探して留める等を考えると思います。

しかし、下地のある部分を探すのは素人には簡単なことではありません。磁石で釘の場所を特定し、その周辺を探る…私も試しましたが間違えると穴ができ悲惨です。

そんなときに近所のホームセンターで勧められたのが石膏ボード用のアンカーです。石膏ボードに木ネジの一回り大きいアンカーをねじ込むことで、その上にネジが留まるようになるというものです。一本100円弱で買えますので、下地補強をするより安価で、下地を探してネジを留めるよりも安全です。

私のガンロッカーもこの石膏ボードアンカーを6つ使用し、その上にビス留めしました。常人では動かせないほど強力に固定されています。住宅設計のときに下地補強を忘れた!と落胆していたところ、すばらしい製品に出会いました。ただし、アンカーと石膏ボードにも限界がありますので、アンカーの荷重への耐久性を確認しましょう。心配であれば下地を入れたり、アンカーを増やしたりすると良いと思います。

★ガンロッカーの基準(以下に相当するものであれば良い)
・外圧に強い錠前であること(鎌錠等)
・扉がロッカー本体に固定できること(かんぬき機構)
・鋼板の厚みが1mm以上であること
・蝶番が切られても開けられない構造(扉内部と側面をプレートで繋ぐ等)
・ガンロッカー内部に鎖等で銃を固定するための装置
・ガンロッカーを閉鎖する扉の錠は、カギ違い120種類以上であること

★設置場所
設置人目に付きづらい場所が好ましく、銃の所持者本人以外があまり使わない場所が良いとされています。

★設置方法
盗難防止のためにロッカーを持ち運べない状態にする必要があります。
ロッカー内部から壁にビス留めを行ったり、常人では持ち上げられない重量とする等すると良いとされています。

人は感情で動く ~元復興大臣の発言より~

昨日、復興大臣の失言により憤りを感じられた方も多いと思います。「東日本大震災がまだ東北でよかった。もっと首都圏に近かったら莫大な、甚大な被害があった」という旨の発言です。

理屈は分かります。首都圏の人口の方が多いため被災する人数も莫大となり、長期間の経済活動の停滞による経済的な損失が大きくなることは想像できます。

ただこれを被災者本人の立場で考えるととてもこんな発言はできません。福島出身の妻は怒りを露にしていました。

また、今回の災害は原発事故による放射能汚染という人災ともいえる側面があります。その復興がままならない中、今回の発言ができるというのは、日頃からそういう考えの持ち主だとしか思えません。

自分の感情を周囲の人のことを考えず公の場で発言してしまうのは復興大臣としてだけでなく、政治家としての能力も疑われます。

人は感情で動きます。理屈では分かっても感情的に嫌悪する行動をする人は少ないでしょう。このような発言をする様では、今後政治家として選ばれにくくなることが予想されます。

話はがらっと変わりますが、原発事故による避難により、避難地区には獣が溢れているそうです。人がいなくなったを好機と昼間からイノシシは闊歩し、猟師が銃口を向けてもそれを恐れないといいます。

ただ、放射能汚染は土や空気だけでなく、そこに自生している植物や農作物にも影響を与えており、それを食べた獣を食肉とすることはできません。

その結果、猟師はイノシシを獲ろうとはしないため、イノシシ等の獣の増加、生息領域の拡大に歯止めが掛からない状況の様です。

福島県の自治体としては、イノシシ1頭を捕獲するごとに報奨金を猟師に支払う交付金制度を設けた様ですが、やはり過酷な環境の中での猟、捕獲したとしても食肉にならないことから、農作物の食害の被害は増え続けているそうです。
汚染イノシシ問題

また、福島県は桃や林檎などの果物の栽培で有名ですが、売れない果物を作ることは不毛という理由もあり、妻の実家の周辺でも果樹園が耕作放棄地になっていっています。

復興庁に望むことは、まず原発の汚染の終息させることです。

「すぐやります!」と「今やります!」の違い

PRESIDENT Onlineの記事に興味深い内容が紹介されていました。
なぜ「すぐやります」は×で、「今やります」は◯か

「すぐやります」と「今やります」には違いがあり、前者は今現在している事が終わり次第にやりますという意味で、後者の場合は現在している事より優先して今やりますという意味であると理解しました。

こういった応答をする場面として元の記事では、自分の中での意思決定を例にしていますが、実際には業務上で上司や同僚から「あの仕事どうなってる?」と問われたとき場面での言葉であると私は考えます。

上司や同僚が尋ねるということはそれだけ優先順位が高かったり、関心のある仕事であることが予想されますので、「すぐやります」と「今やります」のどちらで応答するかは、お互いの信頼関係に大きくかかわってくると思います。

あの人は私がお願いした仕事をいつも後回しにするから嫌だな…と思われるのか、仕事が早くて嬉しいな…と思われるのか。上司や同僚の立場を考えると重要な応対の言葉であると思えます。

もちろん元の記事の筆者がいうように、自分の意思決定の際にも重要な考え方です。後回しにすると行動が伴わない確率が上がるため、必要と思ったらその時ただちにやることで、積み残しがなくなり、様々な結果が出せることとなります。

私の場合も狩猟をはじめるきっかけとなった、おばあちゃんからの訴え(畑の作物が獣の食害に遭って食べるものに困る)を聞いた後、解決するための情報収集、環境省のセミナーへの参加、直後に銃砲所持の手続きと狩猟免許の取得をしました。

考えてみれば自分が銃を持つことなんて考えられませんでしたし、狩猟に馴染みのない人から見たら恐怖を覚えたり、変な人だと思われるのは当然です。もしもあの時、すぐに狩猟の世界に進まなかったら、狩猟の世界を知ることはなかったと思います。そしてこのブログをはじめることはなかったでしょう。

そう考えると「今やります」という言葉が行動するためにとても重要であることが分かります。「思い立ったが吉日」という言葉もありますが、まさにその通りだと思いました。

熊にも世代間ギャップがあるそうです。

東北地方ではツキノワグマと人の遭遇件数が増えてきており、クマによる襲撃でお亡くなりになる事件まで起きている様です。新世代のクマと向き合う(Yahooニュース)

こうした事件の原因は、人を恐れない新世代のクマが出てきているせいだといわれています。

新世代のクマは人に追われたりする経験がなく、また人里に美味しい食べ物があることを知っているため、何度も人里へおりてきてしまい人と遭遇することになります。

ゴミ箱をあさったり、商店の陳列商品を食べたりしても人は何も抵抗できないため、クマにとっては良い餌場となってしまっている状況です。

ツキノワグマは体長、体重ともに人と同程度ですが、噛む力はライオンや虎を上回り、手の鉤爪での攻撃は、当たり所が悪ければ人は即死してしまうほど強力だそうです。

また人とクマの大きな違いは、痛みに対する耐性です。人の場合強烈な痛みにより気絶することで痛みから身を守るようになっていますが、クマは急所に致命傷を負わない限り動き続け、逃走したり、脅威者を攻撃する(取除く)ことで危険を回避するようになっています。そのためナイフでの刺傷や銃弾による銃創では止まることなく襲い掛かってくるか、逃げ出すことが多いそうです。

本州にいるクマがヒグマでなくツキノワグマであることにまだ救いがありますが、人は怖い存在であるとクマに認識してもらわない限り、クマとの遭遇や事故が減ることはありません。

人による犯罪被害だけでなく、獣による被害にも気を配らなければならない時代が来てしまっているのかも知れません。

ニュース記事にあるようなロボットや猟師による追い払いをさらに進めるために、私たちも活動していきたいと思います。

キョン?何それ、美味しいの? ~千葉県のお話~

千葉県特有の害獣であるキョン。小さい鹿の様な哺乳類の生き物で、本来日本にいないはずなのですが、なんと千葉県内に5万頭が生息しているといわれています。いわゆる外来種ですが、キョンによる農作物の食害はニュースになるくらい深刻な状態となっています。千葉県内のイノシシの生息数が2万頭であることを考えるとその多さが分かると思います。

このキョンですが、本来中国(台湾)に生息している生き物で、過去に千葉県の南東岸、太平洋に面した勝浦市にあった動物園(遊園地):行川アイランドで飼育されていたものが脱走し、それが増えたという説が濃厚です。

キョンの自然増加率は年間36%とイノシシと同じか少し高いです。1産1子なのに増加率が高い理由は2つあります。
①生後半年で妊娠できるだけ成長し、生後1年で初出産を迎える
②特定の繁殖期はなくいつでも生殖する

この勢いで増加した場合、2040年に60万頭弱まで増え、現在の千葉県の人口と同等となります。キョンがいたるところで目撃される…恐ろしい事態です。お米、スイカ、柿、みかん、トマトを食べてしまうため、農業にさらに深刻なダメージを与えることになるでしょう。そうすると農業をやめる農家さんが増え耕作放棄地が増えます。そこにイノシシやハクビシンといった害獣が進出して、さらなる食害に悩まされ、また耕作放棄地が増え…と負の連鎖となります。

しかし、現在キョンは狩猟対象外ですので、害獣駆除の依頼が来ない限り獲ってはいけないのです。

害獣としてしとめられたものを食べたことのある猟師さんに聴くと、鹿肉よりも牛肉に近く、臭みやクセがなく食べやすい。イノシシの次くらいに美味いかな…とのこと。狩猟対象でないことが残念でなりません。

食害の報告を市役所、町役場、村役場にあげることでその深刻さが伝わります。人に迷惑を掛けるのは申し訳ないと思わず遠慮なく駆除の依頼をしていきましょう。そうすることで同じ様に食害に悩む人たちが救われることになります。さらには、環境省が狩猟対象として指定することとなり、駆除の申請をしなくても猟師が獲ってくれるようになっていくはずです。